世界王者ルーク・ハンフリーズのセッティング全貌！TX1の秘密

こんにちは。初心者のためのダーツ練習方法、運営者の「ブルくま」です。PDCワールド・ダーツ・チャンピオンシップを制し、世界ランキング1位に君臨するルーク・ハンフリーズ選手。

彼のプレーを見ていると、その圧倒的な得点力と、どんな場面でも表情を変えずにダブルを射抜く「クール・ハンド」ぶりに心底痺れますよね。「自分もあんな風に投げられたら…」と憧れる一方で、彼の矢が描く独特な放物線や、ボードに刺さる角度を見て「一体どんなセッティングを使っているんだろう？」と疑問に思ったことはありませんか？

実は、彼のセッティングには、現代の主流とは逆行するような驚きのスペックや、彼の身体的特徴を最大限に活かすための緻密な計算が隠されているんです。今回は、そんな世界王者を支える愛機「TX1」のスペックから、異端とも言えるシャフトの長さ、そして独特なグリップとの関係性まで、私なりの視点で徹底的に深掘りして解説していきます。

ルーク・ハンフリーズの最新ダーツセッティングと全体像

ここでは、世界王者ルーク・ハンフリーズ選手が実際に試合で使用しているダーツのセッティングについて、その全体像を解剖していきます。「なぜそのパーツを選んだのか？」という理由を知ることで、あなたのセッティング選びにも新しい視点が生まれるはずです。

愛用バレル「Luke Humphries TX1」スペック

ルーク・ハンフリーズ選手がメインで使用しているバレルは、Red Dragon Darts（レッドドラゴン）からリリースされているシグネチャーモデル、「Luke Humphries TX1」です。一見すると、非常にシンプルで飾り気のないシルバーのバレルに見えますが、実は彼のプレースタイルを支えるための重要な「仕掛け」が詰まった玄人好みのモデルなんですよ。

まず、このバレルの最も大きな特徴は、その「短さ」にあります。全長43.2mmという長さは、近年のPDCトッププレイヤーたちがこぞって使用している50mm前後のストレートバレル（例：マイケル・スミス選手やゲルウィン・プライス選手など）と比較すると、明らかに短い「ショートバレル」の部類に入ります。

素材はもちろんタングステン90%の高密度仕様で、細身ながらもしっかりとした重量感を感じられる作りになっています。

バレル径は7.05mmと、ストレートバレルにしてはやや太めですが、これはグリップした時の安心感を確保するための絶妙な太さです。また、刻まれているカット（刻み）は非常にシンプルなリングカットのみ。指にガッチリ食いつくような強いカットではなく、手離れの良さを重視した「程よい引っかかり」に調整されています。

毎日のように何時間も練習し、試合で極限の集中力を発揮する彼にとって、指への負担が少なく、常に一定の感覚でリリースできるこのシンプルさこそが、最強の武器なのかもしれませんね。また、メーカー公表のグリップレベルは5段階中の「1.5〜2」程度とされており、どちらかといえばサラッとした感触を好むプレイヤーに適していると言えるでしょう。

ちなみに、PDCでハンフリーズ選手としのぎを削る「怪物」ルーク・リトラー選手は、対照的に現代の王道とも言えるロングストレートバレルを使用しています。両者のセッティングの違いを比較してみると、プレースタイルの違いがより明確に見えて面白いですよ。

ルーク・ハンフリーズのバレル形状トルピードの利点

現代のハードダーツ界では「グルーピングに有利なストレートバレルが正義」のような風潮すらありますが、なぜ彼はあえて、前方が膨らんで後方が絞り込まれた「トルピード形状（弾丸型）」を選んでいるのでしょうか。これには、物理的な「力の伝わりやすさ」と「操作性（コントローラビリティ）」が大きく関係していると私は分析しています。

トルピード形状の最大のメリットは、バレル前方に体積が集中しているため、重心がやや前寄りになる点です。これにより、まるでボールを投げるような感覚で、腕の振りのエネルギーを効率よくダーツに伝えることができます。

ハンフリーズ選手のスローを見ていると、テイクバックからリリースにかけて非常にスピーディーで、手首のスナップ（コック）を鋭く使って弾くように投げていますよね。このような「パンッ！」と弾くリリースタイプの場合、長いバレルよりも、重心を感じやすい短いトルピードの方が、指先の力を瞬時に推進力に変えやすいんです。

また、彼のようにグリップ位置がバレルの後ろ側にあるプレイヤーにとって、バレル後方の絞り込まれたテーパー部分は、指を「置く場所」として機能します。毎回グリップ位置を目で確認しなくても、指の感覚だけで「ここだ」と分かる形状は、極度の緊張状態でも迷いを生ませないための重要な要素なんですね。

特に、彼のような「リズムプレイヤー」にとって、グリップのセットアップにかかる時間を短縮できることは、自分のリズムを崩さずに投げ続けるための生命線とも言えるでしょう。

長めのシャフトとフライト、短いポイントの採用理由

ハンフリーズ選手のセッティングを語る上で、絶対に避けて通れないのが「シャフトの長さ」です。彼は、Red Dragonの「Joust XL」というモデルに代表される、なんと65mmもの長さがある超ロングシャフトを使用しています。

一般的なミディアムシャフトでも48mm程度ですから、それより1.5cm以上も長いことになります。43mmの短いバレルに65mmのシャフト…、つまりバレルよりもシャフトの方が長いという、常識では考えられないバランスなんです。

なぜ、これほど長いシャフトが必要なのでしょうか？その答えの一つは「空力特性」にあります。短いバレルは操作性が良い反面、空中での姿勢制御が難しく、リリースミスをすると矢が暴れやすいという弱点があります。

そこで、極端に長いシャフトをつけてフライト（尾翼）の位置を重心から遠ざけることで、矢の姿勢を強制的に安定させる「復元力」を最大化しているのです。これは、矢じりが重く、矢羽根が遠くにある弓道の矢と同じ原理ですね。

また、ポイント（ティップ）に関しては、本人がインタビュー等で「かなり短いポイントを使用している」と言及しています。

最近は、ボードへの食いつきやスタッキング（矢を絡ませる技術）を重視して長いポイントを使う選手が増えていますが、彼は逆に短くすることで、バレルとボードの距離を縮め、自分のイメージする着弾点とのズレをなくそうとしているのかもしれません。短いバレル、超長いシャフト、そして短いポイント。この一見アンバランスな組み合わせこそが、あの「爆発的な180」を量産する秘密兵器なのです。

ルーク・ハンフリーズのグリップは4本指の安定型

次に、彼のグリップ（握り方）に注目してみましょう。ハンフリーズ選手のグリップは、親指、人差し指、中指、薬指を使う「4フィンガースタイル」です。そして何より特徴的なのが、そのグリップする「位置」です。

スローモーション映像などで確認すると、彼はバレルの中心部分ではなく、バレルとシャフトの接合部、あるいはシャフトの根元そのものに親指と人差し指を乗せています。これは「極端なリア（後方）グリップ」と言えるでしょう。

この握り方は、バレルを持つのとは異なり、非常に細い部分を支点にするため、繊細な指先の感覚が求められますが、その分、力が一点に集中しやすく、鋭い回転をかけやすいというメリットがあります。

ここで、先ほどの「ロングシャフト」の謎がもう一つ解けます。もし彼が短いシャフトを使って、このようにシャフトの根元を深く握り込んだらどうなるでしょうか？テイクバックした時に、フライトが自分の顔や眼鏡に当たってしまいますよね。

つまり、彼の「シャフト付近を握る深いグリップ」と「顔の近くまで引く深いテイクバック」を両立させるためには、物理的に65mmという長さが必要不可欠だったのです。彼のセッティングは奇をてらったものではなく、自分の投げ方を成立させるための必然の選択だったと言えます。

ルーク・ハンフリーズの身長とリーチを活かすフォーム

ルーク・ハンフリーズ選手は、ダーツプレイヤーとして理想的な体格をしており、その長いリーチを活かして、非常に合理的なフォームを構築しています。

まずスタンスですが、右足をスローラインに対して平行ではなく、つま先を少しターゲットに向ける「オープン気味」のスタンスを取ります。これにより体が正面を向きやすくなり、両目でしっかりとターゲットを捉えることができます。

そして、セットアップでは右肘を非常に高い位置に構えます。一般的なプレイヤーよりも肘の位置が高いため、ダーツの軌道がより直線的になり、ターゲットに対して上から被せるようなイメージで投げることができるのです。

また、彼のスローイングには「迷い」が一切ありません。相手が投げ終わってから自分の番が終わるまで、非常に速いテンポで投げ切ります。これは「リズムプレイヤー」としての特徴でもありますが、長い手足を活かしたコンパクトな振りで、毎回同じ軌道を機械的に再現することに集中している証拠でしょう。

セットアップ時のダーツ角度は約83度、テイクバック完了時で約75度と、角度変化が10度未満であることも分析されています。この「ブレないテイクバック」が、あの驚異的なグルーピングを生み出しているのです。

「クールハンド」の冷静なプレースタイルと道具の関係

彼のニックネーム「クール・ハンド（Cool Hand）」は、1967年の映画『暴力脱獄（原題：Cool Hand Luke）』にちなんで付けられたものですが、現在の彼のプレースタイルをこれ以上ないほど的確に表しています。世界選手権の決勝のような極限のプレッシャーがかかる場面でも、彼は決して動揺を見せず、淡々と、冷徹なまでに正確にターゲットを射抜きます。

この強靭なメンタリティを支えているのが、彼自身の技術への自信と、「道具への絶対的な信頼感」だと私は確信しています。「このセッティングなら、指から離れた瞬間にどう飛ぶか完全に把握できている」という確信があるからこそ、余計な心配をせずにターゲットを狙うことだけに集中できるのです。

実際、彼は不調な時期でもセッティングをコロコロ変えることは少なく、一度信頼した「TX1」と「ロングシャフト」の組み合わせを使い続けています。道具のせいにせず、自分の感覚を道具にアジャストさせていく。その職人のような姿勢が、世界ランキング1位という結果に結びついているのではないでしょうか。

また、彼が入場曲として使用しているKaiser Chiefsの「I Predict a Riot」は、彼が熱狂的なファンであるサッカーチーム「リーズ・ユナイテッドFC」への愛を表しており、ダーツ以外の情熱も彼のメンタルを支える一部となっているのかもしれませんね。

ルーク・ハンフリーズのセッティングを導入するヒント

ここまで、ハンフリーズ選手のセッティングの秘密を紐解いてきました。「面白そう！自分も真似してみたい！」と思った方もいるでしょう。ここからは、私たち一般プレイヤーが彼のセッティングを参考にする際の具体的なポイントや、実際にグッズを手に入れる方法について解説していきます。

世界王者が実践するセッティングへのこだわりと微調整

プロのセッティングを真似する際、単にメーカーとモデルを合わせるだけでは不十分なことがあります。ハンフリーズ選手の場合、特にこだわっているのが「フライトの視認性」です。彼は長年、Pentathlon（ペンタスロン）社製の「Circuit Board（回路基板）」という柄のフライトを愛用しています。

最近は自身のシグネチャーフライトも発売されていますが、重要な試合ではこの昔ながらのフライトに戻すことも多いようです。

なぜこの柄なのか？それは単なるデザインの好みだけではありません。セットアップ（構え）をした時、目の前に来るフライトの色や模様は、ターゲットとの距離感や角度を測るための重要な「目印」になります。彼は、この緑色の回路基板柄が見えることで、「いつもの景色」を作り出し、安心感と集中力を高めているのです。

また、彼のフライトは100ミクロンという標準的な厚さのものを使用しており、耐久性と柔軟性のバランスを重視しています。硬すぎるフライトは弾かれやすく、柔らかすぎると飛行が安定しないため、この厚さが彼の鋭い飛びには最適解なのでしょう。

ソフトダーツでも再現可能！TX1 2BAモデルの選び方

「自分はソフトダーツがメインだから、スティールのセッティングは関係ないかな…」と諦める必要はありません！Red Dragonからは、TX1のソフトダーツ規格（2BA）モデルもしっかりリリースされています。形状やカットのデザインはスティールモデルを踏襲しており、ソフトダーツでも「ハンフリーズ体験」をすることは十分に可能です。

ただし、購入の際には一つ大きな注意点があります。それは「重量（ウェイト）」の違いです。ハンフリーズ選手本人が使用しているスティールモデルは、バレル単体で「22g」ですが、ソフトダーツ版（2BA）は、チップの重さを考慮して、バレル単体で「18g」や「20g」といった軽めの設定になっていることが一般的です。

ソフトダーツの場合、ターゲット（ビット）が大きいため、多少の飛びの暴れは許容される傾向がありますが、彼のセッティングを真似することで、狭いブルを狙う際の「精度の高さ」を養うことができるはずです。

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ルーク・ハンフリーズのセッティングが向く人の特徴

正直に言うと、彼の「ショートバレル×65mmロングシャフト」という極端なセッティングは、万人に合うものではありません。しかし、ハマる人には劇的な進化をもたらす「劇薬」のような可能性を秘めています。私の経験上、以下のような特徴を持つプレイヤーには、試してみる価値が大いにあると思います。

• グリップ位置が深い人： バレルの一番後ろや、シャフトとの段差を握るタイプの人。短いシャフトだと窮屈に感じる方に特におすすめです。
• 飛びを安定させたい人： 矢が空中で暴れたり、刺さる角度がバラバラで悩んでいる人。長いシャフトの復元力が、あなたのスローを助けてくれるでしょう。
• 鋭く振るタイプの人： ゆったり投げるよりも、手首をパチンと弾いて鋭く投げるスイングタイプの人。ショートバレルの操作性が活きてきます。
• 身長が高い、またはリーチが長い人： 高い打点から投げ下ろすイメージを持っている人。ハイエルボーのフォームと相性が抜群です。

「今のセッティングになんとなく違和感がある」「もっと飛びを安定させたい」と感じているなら、一度騙されたと思って、数百円で買えるロングシャフトを試してみてください。もしかしたら、それがあなたの覚醒のきっかけになるかもしれません。

Red Dragon製モデルや関連グッズの購入方法

Red Dragon（レッドドラゴン）はイギリスのメーカーですが、日本国内での人気も非常に高く、入手は比較的容易です。ダーツハイブやエスダーツといった国内の主要ダーツショップはもちろん、Amazonなどの大手通販サイトでも取り扱いがあります。特に、バレル「TX1」は多くのショップでラインナップされています。

ただし、「TX1」のような人気選手のシグネチャーモデルは、世界的な活躍に合わせてすぐに品薄になる傾向があります。特に、彼が使っている「Joust XL」のような65mmクラスの特殊なシャフトは、一般的な店舗では置いていないことも多いです。

もし純正品が見つからない場合は、Bull's NL（ブルズ・オランダ）製のロングナイロンシャフトなどが、サイズや材質が近く、代替品として非常に優秀ですので、そちらを探してみるのも賢い選択です。（出典：Red Dragon Darts公式『Luke Humphries Collection』）

ルーク・ハンフリーズのセッティングに関するよくある質問

ルーク・ハンフリーズのセッティングまとめ

今回は、世界王者ルーク・ハンフリーズ選手のセッティングについて、そのスペックから身体操作との関係まで詳しく解説してきました。彼の強さは、単なる才能だけでなく、自分のスタイルを客観的に分析し、それを最大限に活かすための「常識にとらわれない道具選び」によって支えられていることがお分かりいただけたかと思います。

ダーツのセッティングに「正解」はありませんが、世界一のプレイヤーが選んだ答えには、間違いなく上達へのヒントが隠されています。あなたも、常識にとらわれず、自分にとって本当に投げやすいセッティングを探求してみてください。この記事が、その第一歩になればとても嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました！