ダーツのセッティングで、多くのプレイヤーが最初に悩み、そして深く探求し続けるのがシャフトの長さ選びではないでしょうか。憧れのダーツプロのセッティングを参考にしてみても、自分の投げ方や感覚に合うとは限りません。
「ダーツがまっすぐ飛ばない」「どうも飛びに影響が出ている気がする」といった尽きない悩みの一因が、実はシャフトにあるかもしれないのです。この記事では、そんなシャフトの長さに関するあらゆる疑問に、深く、そして分かりやすくお答えします。
基本的なシャフトの長さ比較はもちろん、シャフトが長いことによるメリット、そしてダーツの核となるバレルや飛行を司るフライトとの関係性まで、初心者の方にも理論からご理解いただけるよう丁寧に解説。
さらに、人気のカーボンシャフトといった素材の話から、一般的なシャフトの長さの平均、意外と知らない正しい測り方まで、あなたの知識を一段階引き上げる情報を網羅的にご紹介します。
この記事を読めば、あなたにとって最適なダーツシャフトのおすすめ、つまり最高のダーツ シャフト 長さ おすすめを見つけるための確かな知識が全て手に入ります。
記事のポイント
- シャフトの長さによる飛び方の違い
- レベルや投げ方に合ったシャフトの選び方
- バレルやフライトとの最適な組み合わせ
- セッティングの悩みを解決するヒント
目次
【ダーツ】シャフトの長さに関するおすすめの基本知識
- まずは基本から!シャフトの長さは主に3種類【一覧で比較】
- 長いシャフトと短いシャフト、それぞれのメリット・デメリットは?
- シャフトの長さはダーツの飛びにどう影響する?軌道と直進性の関係
- 長さ以外の要素「素材(ナイロン・カーボン)」による違いとは
- 測り方から平均・規定まで知っておきたい基本
まずは基本から!シャフトの長さは主に3種類【一覧で比較】
ダーツのシャフトを選ぶ上で、全ての基本となるのが「長さ」の種類を理解することです。シャフトの長さは、ダーツ全体の総重量や重心バランスに直接的に影響を与え、その結果としてダーツの飛び方を大きく左右する極めて重要な要素となります。
市場には多種多様なシャフトが存在しますが、その長さは一般的に「ショート」「インビト」「ミディアム」の3種類に大別されます。これが全ての基準となるため、まずはこの代表的な3種類が持つ特性を深く把握することから始めましょう。
現在では、L-style™(エルスタイル)公式サイトに代表される主要メーカーによってさらに細分化され、プレイヤーの微細なニーズに応える豊富なバリエーションが展開されています。
種類 | 一般的な長さの目安 | 特徴と詳細 |
---|---|---|
ショート | 18mm~24mm前後 | ダーツ全体がコンパクトになり、重心が前に寄りやすくなります。これにより、リリースした力がダーツにダイレクトに伝わり、鋭く直線的な飛びを求めるプレイヤーに好まれる傾向があります。コンパクトなフォームで素早く腕を振るスタイルの方と特に相性が良いです。 |
インビト | 24mm~30mm前後 | 「in between(中間)」という言葉が語源であり、文字通りショートとミディアムの中間に位置します。突出した特性がない分、非常にバランスが良く、最も標準的な長さとされています。そのため、初心者の方が自分の投げ方の基準を作る上で、最初に試すシャフトとして最適解と言えるでしょう。 |
ミディアム(ロング) | 31mm~35mm前後 | ダーツ全体が長くなることで重心がやや後ろに寄り、フライトが受ける空気抵抗の効果が大きくなります。これにより飛行姿勢が安定し、伸びやかで弧を描くような軌道をサポートします。フォームがゆったりしている方や、安定したコントロールを重視するプレイヤーに適しています。 |
これらの基本的な3種類以外にも、さらに短い「マイクロ」や、より長い「エクストラロング」といった極端なサイズのシャフトも存在します。これらは特定の効果を狙ったセッティングで使用されます。
まずは基準となる3種類を試し、そこから自分の投げ方や目指す飛び方をより明確にイメージしながら、最適な一本を探していくことが重要です。
長いシャフトと短いシャフト、それぞれのメリット・デメリットは?
シャフトの長さを選択することは、ダーツの飛び方に特定の効果をもたらす「トレードオフ」の関係にあります。つまり、何かを得れば何かを失う可能性があるということです。
ここでは、長いシャフトと短いシャフトが持つそれぞれのメリットとデメリットを、より深く具体的に解説します。ご自身のプレースタイルや改善したい点と照らし合わせ、どちらがより大きな利益をもたらすかを見極める参考にしてください。
長いシャフトの特性
【メリット】
長いシャフトがもたらす最大のメリットは、フライトが受ける空気抵抗の効果を最大限に増幅させ、ダーツの飛行姿勢を非常に安定させる点にあります。これは飛行機の尾翼が大きいほど直進安定性が増すのと同じ原理で、リリース時の微細なブレをダーツ自身が補正し、軌道を一定に保とうとする力が働きます。
結果として、伸びのある綺麗な放物線を描きやすくなり、コントロールを重視し、3本のダーツを同じエリアに集める「グルーピング」を目指すプレイヤーにとっては、再現性の高いスローを可能にする強力な武器となるでしょう。
【デメリット】
一方で、シャフトが長くなるほど、テコの原理によりリリースポイントが重心から遠ざかるため、力が伝わりにくくなります。これによりダーツが失速し、ターゲットの手前で垂れてしまう(届かない)現象が起きやすくなります。
また、空気抵抗が大きいということは、リリース時のわずかな角度のズレやタイミングの遅れが、飛びに大きく影響してしまう可能性も秘めています。力がダーツにしっかりと伝わりきらないと感じる方や、より鋭い飛びを求める方には不向きな場合があります。
短いシャフトの特性
【メリット】
短いシャフトを使用すると、ダーツ全体の重心が前方に凝縮され、リリースした力がほぼロスなくダイレクトに伝わります。これにより、矢速が劇的に上がり、ターゲットに対してシャープで直線的な軌道を描きやすくなるのが最大の利点です。
少ない力で鋭くダーツを飛ばしたいプレイヤーや、テイクバックが浅くコンパクトなフォームで投げる方とは特に相性が良いと言えます。
【デメリット】
飛行中の自己補正能力は長いシャフトに比べて劣るため、プレイヤー自身の技術がより求められ、コントロールは格段にシビアになります。
リリースのタイミングや角度が少しでも狂うと、ダーツが左右に暴れたり、意図しない角度でボードに刺さったりと、狙いから大きく外れる原因にもなりかねません。安定した飛びを求める初心者の方にとっては、最初は非常に扱いが難しく感じることが多いでしょう。
シャフトの長さはダーツの飛びにどう影響する?軌道と直進性の関係
シャフトの長さがダーツの飛びにどう影響するのか。このテーマはプレイヤーの間でしばしば議論となり、「長いと山なりに飛ぶ」「短いと直線的に飛ぶ」という一般的な説に対し、「いや、長い方がむしろ直線的に感じる」という声も少なくありません。
この一見すると矛盾しているように思える感覚は、ダーツの飛行原理という物理的な事実と、プレイヤーが「どう感じるか」という主観的な感覚の違いから生まれています。
まず物理的な観点から見ると、シャフトが長いほどフライトが空気抵抗を受ける作用点がダーツの重心から遠ざかります。これは、長い棒の端を持った方が、短い棒の端を持つよりも安定させやすいのと同じ「テコの原理」が働きます。
そのため、ダーツは飛行中の姿勢を水平に保とうとする力が強く働き、結果として重力に従った素直で安定した放物線(山なりの軌道)を描きやすくなります。
逆に、シャフトが短いとフライトの作用点が重心に近くなるため、この安定させる力は弱まります。その代わり、プレイヤーがダーツに与えた力が推進力としてダイレクトに伝わり、初速が速く、重力の影響をより少なく受けた直線的な弾道でターゲットに向かうのです。
「では、なぜ一部のプレイヤーは『長い方が直線的』と感じるのでしょうか?」
それは、「弾道の直進性(軌道)」と「飛行姿勢の安定性(ブレの少なさ)」という二つの異なる要素を、包括的に「飛び」として捉えているからです。
長いシャフトは飛行中の上下左右の細かなブレを抑え、矢が暴れずにスーッと静かに進んでいくように見えます。この「ブレのない安定した飛行」を指して、「直線的」と表現することがあります。一方で、短いシャフトの鋭い飛びは、時にコントロールを失うと暴れを伴うため、不安定と感じることもあるのです。
つまり、シャフトの長さを変えることで、あなたは「軌道の種類(山なりか、直線的か)」と「飛行の安定性(ブレにくいか、シビアか)」という、二つのパラメーターを同時に調整していることになります。
自分が今、どちらの要素を改善したいのかを明確に意識することが、理想のセッティングにたどり着くための重要な鍵となります。
長さ以外の要素「素材(ナイロン・カーボン)」による違いとは
シャフト選びにおいて、長さと同じくらいセッティングに大きな影響を与えるのが「素材」です。素材はシャフトの重さ、耐久性、そして価格という3つの主要な要素を決定づけ、ダーツ全体のバランスを大きく左右します。
ここでは代表的な素材の特徴を深く掘り下げて解説しますので、ご自身のプレースタイル、予算、そして何を重視するかによって最適なものを見つけてください。
プラスチック(ナイロン・PC)
最も一般的で、市場に最も多く流通しているのがプラスチック製のシャフトです。安価かつ軽量であることが最大のメリット。
カラーバリエーションやデザインが他のどの素材よりも豊富で、数百円から手に入るため、初心者の方が様々な長さを試したり、気軽にセッティングの見た目を変えて楽しんだりするのに最適です。
軽いのでダーツ全体の重心を前に保ちやすく、ほとんどのプレイヤーにとって基準となる素材です。ただし、最大のデメリットは耐久性の低さ。グルーピング時に後続のダーツが衝突する「おかま掘り」で簡単に破損してしまうため、予備を常に用意しておくことが推奨されます。
カーボン
カーボン繊維を強化プラスチック樹脂で固めた複合素材です。プラスチックに匹敵する軽さを保ちながら、耐久性を飛躍的に向上させたことで、現在非常に人気の高い素材となっています。
プラスチックシャフトがすぐに折れてしまうことにストレスを感じるプレイヤーにとって、まさに救世主と言えるでしょう。価格はプラスチックより高価になりますが、交換頻度が劇的に減るため、長期的にはコストパフォーマンスが良いと評価する声も多いです。
しなりが少なく硬質なため、力がダイレクトに伝わる感覚を好む人にもおすすめです。
金属(アルミ・チタン・ジュラルミン)
アルミ、チタン、そして航空機にも使われる超超ジュラルミンといった金属製シャフトは、他の素材を圧倒する強度と耐久性を誇ります。まず折れることはなく、半永久的に使用できるものもあります。
しかし、最大の特徴はプラスチックやカーボンに比べて顕著に重量があることです。この重さを戦略的に利用し、ダーツ全体の重心を意図的に後ろにずらして飛行姿勢をコントロールしたい上級者に好まれます。
ただし、重さによってダーツのバランスが根本から変わってしまうため、初心者の方が安易に手を出すと投げにくさを感じる可能性が高いです。また、金属同士であるバレルとの接合部が非常に緩みやすいため、緩み防止のOリングが必須となります。
素材 | 価格帯の目安 | 重さの傾向 | 耐久性 | 主な特徴とプレイヤータイプ |
---|---|---|---|---|
プラスチック | 200円~600円 | 軽い | 低い | 最も一般的で安価。種類が豊富で、初心者や様々な長さを試したい方におすすめ。 |
カーボン | 1,000円~3,000円 | 軽い | 高い | 軽さと丈夫さを両立。プラスチックの消耗に悩む中~上級者に絶大な人気。 |
アルミ | 500円~1,000円 | 重い | 非常に高い | 安価な金属製。曲がることはあるが折れにくい。ハードダーツプレイヤーに愛用者が多い。 |
ジュラルミン | 4,000円~8,000円 | 重い | 非常に高い | アルミよりさらに高強度。重さを活かしたセッティングを求める上級者向け。 |
チタン | 3,000円~10,000円 | 重い | 最高クラス | まず折れない究極の素材。特定のバランスを追求し、一本を長く使いたいプレイヤー向け。 |
測り方から平均・規定まで知っておきたい基本
ダーツのセッティングをより深く、そして正確に突き詰めていくと、長さの「測り方」や一般的な「平均」、さらには公式戦での「規定」といった、より専門的な知識が役立つ場面が出てきます。ここでは、意外と知られていないけれど重要な、シャフトの基本情報を詳しく解説します。
正しいシャフトの長さの測り方
シャフトの長さは、国際的な統一規格があるわけではなく、メーカーごとに表記方法が異なります。しかし、最も一般的な基準は「ネジ山の根元(バレルとの接合面)から、フライトを差し込むスリットの末端まで」の長さを指します。
商品パッケージに「260」や「330」といった3桁の数字が記載されている場合、これは多くの場合「26.0mm」や「33.0mm」を意味します。
【注意点:メーカーによる表記の違い】
最大の注意点は、メーカーによってこの基準が異なる場合があることです。例えば、シャフト単体の全長を表記するメーカーもあれば、「フライトとバレルの間の距離」という、より実用的な数値を表記するメーカーもあります。
そのため、異なるメーカーのシャフトを比較する際は、パッケージの数字だけを鵜呑みにせず、可能であれば実際の製品仕様を確認し、同じ基準で比較することが非常に重要です。この認識のズレが、セッティングの違和感に繋がることも少なくありません。
一般的な長さの平均は?
前述の通り、現在市場で最も標準的かつ平均的な長さとされているのは、中間サイズである「インビト」です。具体的な長さで言うと、およそ24mmから30mm前後がこのカテゴリに含まれます。
多くのダーツプレイヤーがこのインビトサイズを自身のセッティングの「基準点」としており、初心者の方がマイダーツを初めて購入する際にも、まずはこの長さから試すのが揺るぎないセオリーとされています。
突出したクセがなくバランスが取れているため、自分の投げ方の土台を築くのに最適です。もし長さ選びで完全に迷ってしまったら、インビトを選んでおけば大きな失敗をすることはないでしょう。
公式戦での規定について
ソフトダーツやハードダーツの公式な大会に出場する際に知っておくべきこととして、ダーツ全体の用具に関する規定が存在します。例えば、主要なプロ団体であるSOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPANの競技規定では、ダーツ全体の長さ(ティップの先端からフライトの末端まで)が30.5cm以内、総重量が25.0g以内と定められています。(出典:SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN「JAPAN選手規定」)
シャフト単体の長さに対する直接的な規定は基本的に設けられていません。しかし、極端に長いシャフトと大きなフライトを組み合わせた場合、この「全長30.5cm」という規定に抵触する可能性はゼロではありません。
趣味で楽しむ分には気にする必要はありませんが、将来的に大会出場を視野に入れている競技志向のプレイヤーは、念のため自分のセッティングが大会規定の範囲内に収まっているか、一度メジャーで測っておくと良いでしょう。
自分に合うダーツシャフト|おすすめの選び方を解説
- 【初心者向け】最初に試すべきシャフトの長さと選び方のコツ
- バレルの重さや長さとの相性で考える!セッティングの黄金比
- フライトの形状や大きさで変わる!おすすめの組み合わせ方
- トッププロのセッティングから見る!人気のシャフト長と傾向
- ダーツが「まっすぐ飛ばない」悩みはシャフト長で見直せる?
- レベル別に見るダーツシャフト長さおすすめ
【初心者向け】最初に試すべきシャフトの長さと選び方のコツ
ダーツを始めたばかりの初心者の方にとって、ダーツショップに並ぶ無数のシャフトの中から、自分に合った最適な一本を選ぶのは至難の業です。
デザインや価格に目移りしてしまいがちですが、ここでは初心者がシャフト選びで失敗せず、着実な上達への一歩を踏み出すための、基本的な考え方と具体的な選び方のコツを丁寧にお伝えします。
結論から申し上げると、初心者が最初に手にすべきシャフトの長さは、議論の余地なく「インビト(中間サイズ)」です。これには、感覚論ではなく明確な理由が存在します。
インビトは長すぎず短すぎないため、ダーツの飛び方が極端な方向に偏ることがなく、非常に素直でバランスの取れた軌道を描きます。この基準となるシャフトで投げ込むことにより、プレイヤーはまず自分自身の基本的な投げ方、つまり「自分のスローの原型」を確立することができます。
もし最初から極端に長い、あるいは短いシャフトを使ってしまうと、ダーツが持つ特異な性質に自分のフォームが無理やり合わせる形となってしまい、不自然なクセがついて上達の妨げになる可能性があるのです。
【初心者向け 後悔しない選び方の3ステップ】
- まずは「インビト」サイズの「プラスチック」シャフトを選ぶ
何よりもまず基準を知ることが重要です。素材は最も安価で手に入りやすいプラスチック製で十分。ダーツの基本的な飛び方を体に染み込ませるのに最適です。 - インビトで投げ込み、ダーツの刺さり方や軌道を客観的に観察する
自分の投げ方のクセ(ダーツが上に浮きやすい、失速して下に落ちやすいなど)を冷静に把握します。この自己分析が次のステップに繋がります。 - 明確になった悩みに合わせて、一段階だけ長さを調整する
- ダーツが力なく失速して下に垂れる、ターゲットに届かない → 推進力を高めるため、少し短いシャフトを試す
- ダーツが上に浮きすぎて暴れる、安定感がない → 飛行姿勢を安定させるため、少し長いシャフトを試す
この論理的なステップを踏むことで、闇雲にパーツを買い替えるのではなく、明確な目的意識を持ってセッティング調整ができるようになります。まずは「基準」を知り、そこからの「変化」を一つずつ試していくこと。これこそが、ダーツ上達への一番の近道と言えるでしょう。
バレルの重さや長さとの相性で考える!セッティングの黄金比
シャフトの長さを選ぶ際、シャフト単体の性能だけで考えるのは不十分です。ダーツの性能を決定づける最も重要なパーツであるバレルとの相性を考慮することで、初めてセッティングは完成します。
バレルの重さ、長さ、そして最も重要な重心の位置によって、最適なシャフトの長さは劇的に変わってきます。セッティングの「黄金比」に万人に当てはまる絶対の正解はありませんが、その基本的な考え方を知ることで、自分だけの最適な組み合わせを効率的に見つけ出すことが可能になります。
バレルの重心とシャフトの長さのマッチング
バレルの重心は、主に「前重心(トルピード形状など)」「センター重心(ストレート形状など)」「後方重心」の3タイプに大別されます。それぞれの重心タイプが持つ特性を、シャフトの長さでどう活かすか、あるいは補うかがポイントです。
- 前重心のバレル:バレルの前方が重いため、ダーツは前へ前へと進む力が強く働きます。ここに短いシャフトを組み合わせると、その推進力をさらに増幅させ、鋭く直線的な飛びが期待できます。逆に、あえて長いシャフトを合わせることで、後方の安定感をプラスし、飛びの鋭さをマイルドに調整してコントロール性を高める、というアプローチも有効です。
- センター重心のバレル:最もオーソドックスで、クセのない素直な飛び方をします。そのため、シャフトの長さによる特性が最もダイレクトに反映されやすいタイプと言えます。インビトサイズを基準とし、より安定性を求めるなら長く、より鋭さを求めるなら短く、といった微調整が非常に効果的です。
- 後方重心のバレル:バレルの後ろ側が重いため、リリース時に指でしっかりと押し出すように投げると力が伝わりやすいのが特徴です。このタイプのバレルには長いシャフトを組み合わせるのがセオリーです。後方に重量があるシャフトが加わることで、ダーツ全体のバランスが取れ、飛行中の安定性が格段に増します。短いシャフトだと、重心が極端に後ろ寄りになりすぎてしまい、コントロールが非常に難しくなる場合があります。
「自分がバレルのどこをグリップ(握る)するか」も、見逃せない重要な判断基準になります。
例えば、バレルのかなり後方を持つプレイヤーが短いシャフトを使うと、投げる瞬間に指がフライトに触れてしまい(フィンガーアクション)、正確なリリースを妨げてしまうことがあります。
このような場合は、まず指が触れない程度の長さがあるシャフトを選ぶのが基本中の基本です。自分のグリップ位置とダーツ全体のバランスを客観的に観察し、最も快適に、そしてストレスなく投げられる組み合わせを探しましょう。
フライトの形状や大きさで変わる!おすすめの組み合わせ方
シャフトがダーツの「骨格」だとすれば、フライトは飛行姿勢を司る「翼」の役割を果たします。この二つのパーツは、互いの性能を左右する密接な関係にあり、その組み合わせ方次第でダーツの飛びは劇的に、そして繊細に変化します。
フライトの形状や面積(大きさ)と、シャフトの長さが持つ特性との相性を深く理解し、自分の理想とする飛びを実現させましょう。
フライトの主な役割は、空気抵抗を利用してダーツの飛行姿勢を安定させることです。そして、その安定させる力は、基本的にフライトの面積が大きければ大きいほど強くなります。
フライトの大きさとシャフトの長さの基本セオリー
この原理に基づき、セッティングには一般的なセオリーが存在します。
- 大きいフライト(スタンダード、ティアドロップなど):
フライト自体の揚力と安定性が高いため、その効果を最大限に引き出すことができる長いシャフトとの相性が非常に良いとされています。長いシャフトによってフライトがしっかりと空気をつかみ、ダーツ全体の飛行姿勢を安定させ、伸びのある綺麗な放物線を描く手助けをします。逆に、短いシャフトと組み合わせると、前後のパーツが持つ特性が喧嘩してしまい、飛行が不安定になることがあります。 - 小さいフライト(シェイプ、スリムなど):
空気抵抗が少なく、安定性よりもスピードと直進性を重視したフライトです。このシャープな特性を活かすためには、同じく直進性を高める効果を持つ短いシャフトが適しています。フライトとシャフトの両方で空気抵抗を極力減らすことにより、矢速の最大化を図り、直線的で鋭い飛びを生み出すセッティングとなります。
【これはあくまで基本セオリーです】
この組み合わせは、あくまで多くのプレイヤーに当てはまる一般的なセオリーであり、絶対の法則ではありません。ダーツの奥深いところは、このセオリーから外れたセッティングが、特定のプレイヤーにとっては最適解となり得ることです。
例えば、あえて大きいフライトと短いシャフトを組み合わせて独特な失速感を生み出すトッププロもいます。基本を押さえた上で、常識にとらわれずに様々な組み合わせを試してみることこそが、セッティング探しの醍醐味と言えるでしょう。
トッププロのセッティングから見る!人気のシャフト長と傾向
自分のセッティングに迷い、出口が見えなくなった時、トッププロフェッショナルプレイヤーのセッティングを参考にすることは、非常に有効なブレークスルーの手段となり得ます。
彼らは我々が想像もできないほどの時間を費やし、無数のパーツを試した末に、自分のパフォーマンスを100%引き出すための最適な組み合わせに辿り着いています。その選択には、ダーツ上達のための貴重なヒントが凝縮されているかもしれません。
一昔前までは「上級者やプロほど短いシャフトを使う」というステレオタイプなイメージがありましたが、現在のプロプレイヤーのセッティングは驚くほど多様化しており、そのイメージはもはや過去のものです。一概に「この長さがプロの主流」と言い切ることはできません。
例えば、鈴木未来選手や浅田斉吾選手のように、コンパクトなフォームから圧倒的に鋭い飛びを実現するためにショートシャフトを選択する選手もいれば、フィル・テイラー選手のように、絶対的な安定感を重視してミディアムやそれ以上の長さのシャフトを長年愛用し続けたレジェンドも存在します。(参考:エスダーツ プレイヤー名鑑)
【プロのセッティングから我々が学ぶべきこと】
- 流行りやイメージに流されない思考法:プロが使っているからという表面的な理由だけで選ぶのではなく、「なぜそのプロがその長さを選んでいるのか」を考察することが重要です。そのプロのフォーム、リズム、そしてダーツの軌道をじっくりと観察すると、セッティングに込められた戦略的な意図が見えてくることがあります。
- セッティングは常に変化するという柔軟性:多くのプロは、その日のコンディション、対戦相手、さらには会場の照明や空調といった環境要因によって、シャフトの長さをミリ単位で調整することがあります。一つのセッティングに固執せず、常に最適解を探し続ける柔軟な姿勢こそ、我々が最も学ぶべき点かもしれません。
- 最終的には自分の感覚が全ての絶対性:プロのセッティングは、あくまで道標であり、ヒントです。最終的に信じるべきは、自分で投げてみて「投げやすい」「イメージ通りに飛ぶ」「気持ちいい」と感じる、あなた自身の感覚なのです。
ダーツショップのウェブサイトやダーツ専門誌などで、トッププロの最新セッティングは頻繁に紹介されています。憧れの選手のセッティングを一度完全にコピーしてみて、そこから自分流にアレンジを加えていくのも、ダーツという趣味の奥深い楽しみ方の一つです。
ダーツが「まっすぐ飛ばない」悩みはシャフト長で見直せる?
「狙ったブルに対して、ダーツがまっすぐ飛ばない」というのは、ダーツのレベルを問わず、全てのプレイヤーが一度は直面する根深い悩みです。
この原因は、グリップの乱れ、フォームの再現性の低さ、あるいは精神的なプレッシャーなど多岐にわたりますが、見落とされがちなのがセッティング、特にシャフトの長さが原因である可能性です。あなたの悩みが、シャフトを見直すことで劇的に改善するかもしれません。
ダーツがまっすぐ飛ばない原因がシャフトにある場合、その現象は主に「ダーツが飛行中に暴れてしまう」または「ダーツが推進力を失い失速している」のどちらかに分類できます。
ケース1:ダーツが左右や上下に暴れてしまい、軌道が安定しない場合
これは、リリースされたダーツが飛行中に適切な揚力を得られず、姿勢を崩してしまっている状態です。多くの場合、ダーツの直進性が強すぎる(=安定性が低い)か、プレイヤーのフォームに対してセッティングが敏感すぎる(ピーキー)ことが原因と考えられます。
【対策】
現在使用しているものより一段階長いシャフトを試してみてください。シャフトを長くすることでフライトの効果が高まり、ダーツの飛行姿勢を安定させる力が強まります。
これにより、まるでレールの上を走るかのようにダーツの暴れが収まり、狙ったラインに対して素直に飛んでくれるようになることが期待できます。
ケース2:ダーツが力なく失速し、ボードの下方に垂れてしまう場合
リリースした瞬間の感覚は悪くないのに、ダーツがターゲットの手前で力なくお辞儀をするように垂れてしまう状態です。これは、プレイヤーが生み出した推進力が足りないか、あるいはセッティングによる空気抵抗が大きすぎることが原因として考えられます。
【対策】
現在使用しているものより一段階短いシャフトを試してみてください。シャフトを短くすることで、プレイヤーの力がよりダイレクトにダーツに伝わり、矢速がアップします。
また、空気抵抗が減少することで、より直線的にターゲットへ向かう力が強まり、これまで届かなかった「もう一伸び」を生み出し、失速を防ぐ効果が期待できます。
言うまでもなく、シャフトの長さ変更は全ての悩みを解決する万能薬ではありません。
ダーツがまっすぐ飛ばない根本的な原因がフォームにあることも多いため、セッティング変更と並行して、もう一度ご自身のグリップやスタンス、テイクバックといった基本的な動作を見直すことも忘れないようにしましょう。
レベル別に見るダーツシャフト|長さのおすすめ
この記事の要点を、あなたに最適なシャフト選びの最終チェックリストとしてまとめます。ぜひ参考にしてください。
- シャフトの長さ選びに、万人共通の絶対的な正解は存在しない
- 初心者はまず、全ての基準となるインビト(中間)サイズから試すのが上達への最短ルート
- 長いシャフトは飛行が安定しやすくコントロール性が向上するが、力が伝わりにくく垂れることもある
- 短いシャフトは鋭く直線的に飛ぶが、その分コントロールはよりシビアになる
- ダーツが思うように飛ばず下に垂れると感じたら、シャフトを一段階短くすることを検討する
- ダーツが暴れて安定しないと感じたら、シャフトを一段階長くして安定性を高めることを試す
- 素材は「価格」「重さ」「耐久性」という3つの要素のバランスで選ぶことが大切
- 基本的には安価で軽量なプラスチック(ナイロン)製で、様々な長さを試すのが賢明
- 耐久性を重視するなら、少し高価でも軽量なカーボン製が結果的にコストパフォーマンスに優れる
- バレルの重心(前・中央・後)や自分のグリップ位置との相性を考えることは非常に重要
- フライトの面積が大きいほど、その安定性を活かすことができる長いシャフトと相性が良い
- トッププロのセッティングはあくまで参考であり、最終的な判断基準は自分自身の感覚
- 「まっすぐ飛ばない」という根深い悩みは、シャフトの長さを見直すことで改善する可能性がある
- 様々な長さや素材を試行錯誤するプロセスそのものが、ダーツの大きな楽しみの一つ
- 最終的にはデータや理屈だけでなく、自分が「最も気持ちよく投げられる」と感じる感覚を信じることが最も重要